「という話を、ナナシさんから入手しまして」
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「おう、その話なら俺も知ってるぜ
鈴鳴と久利も同じことを聞かれたみたいだな」 | |
「何がきっかけかは知らねぇが、マイブームなんだってな」
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「くっくっく、あの2人なら皆さん、なんでも答えてしまうでしょうね」
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「お前だって淳と雫に聞かれたら、隠さずに教えちまうだろ?」
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「それはもう。お2人のことは嫌いではありませんから」
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「まあ、かくいう俺もそうなんだけどな」
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「オヤッサンは、お2人を可愛がってますからね」
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「へへっ、そこそこな」
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「しかしよぉ、一つ疑問なんだが……」
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「何ですか?」
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「バカップルもナナシも中央区住まいだろ?」
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「ええ」
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「どうして淳と雫は、アイツらに先に話を聞きにいって、俺のところに聞きに来ないんだ?」
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「バスや電車に乗るにしても、必ずこの店の近くを通るじゃねえか」
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「……ふむ、本当に、その問いにお答えしてもよろしいので?」
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「いや、やっぱり、聞かなかったことにしてくれ。何となく答えに察しはついてるからよ……」
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「おそらく、お二人はオヤッサンの私生活に興味がないのかと」
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「だから、ハッキリ言うんじゃねえよ!?」
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「まあまあ、落ち着いて。代わりに私が好き嫌いをお聞きしますから」
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「あれ? 俺、同情されてる?」
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「それで、オヤッサンの好きなものは?
分かりきっているので、料理を除いた回答をお願いしますよ」 | |
「むぅ、料理を除くか……そりゃあ、翼をもがれた天使のようなものだぜ」
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「天使から名誉毀損で訴えられないよう、お気をつけください」
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「一日の終わりの一杯と……後は、若い奴らが楽しそうにしてるのを見るが好きかねぇ」
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「お酒を嗜(たしな)まれるとは、初耳です」
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「今は基本、家呑み一択だからな。仕事に支障がでないように文字通り一杯だけだしよぉ」
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「そこは心配していませんよ。事実オヤッサンが酔っている姿など見たことはありませんので」
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「昔は、そこそこだらしない姿もみせてたが、今は立場もあるしな」
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「お察しします」
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「ありがとよ」
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「それで、嫌いなものは一体何なのですか?」
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「俺が料理人だからってわけじゃなく、昔から食べ物を粗末にする人間は好きになれねぇな」
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「ふむ……私としては、オヤッサンが料理人であるという事実を認めることができないのですが」
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「そこは素直に認めてくれよ!?」
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好きなものは、一日の終りの一杯。
嫌いなものは、食べ物を粗末にする人間。 |
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