第3回 『千春は勇のついて、どこまで、何を知ってるの?』

「えっ!
 天河君OKしてくれたの!?」
「『2人の分も緒川さんに、お礼しなくちゃね』って言ってたけどさ、素直じゃないよなぁ」
「素直じゃないよねぇ~」
「素直?」
「だってさ、そんなこと言いながらニヤニヤしてたし。
 オレたちのお礼とかさ、絶対いいわけだって」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんと遊びたかっただけなの」
「そ、そんなことないんじゃないかな」
「そんなこと、あるある」
「姉ちゃんと遊ぶ話をした次の日、兄ちゃん新しい服を買いに行ってたし」
「お兄ちゃん、ふだんはあんまり服とか買わないのにね」
(筒抜けだよ……筒抜けだよ天河君)
(でも、もし本当なら嬉しいな……)
「うん……そういうことなら、私も頑張って服を選ばなくちゃね」
「でさ、来週の日曜日って姉ちゃん空いてる?」
「来週の日曜日なの?
 空いてるけど、急すぎて心の準備が……」
「ん?
 心のじゅんびって、ただ遊ぶだけじゃん」
「お姉ちゃんにとっては、そうじゃないんだよね?」
「雫ちゃんは分かってくれる?」
「うん!」
「???」
「それで、待ち合わせの時間と場所は?」
「お兄ちゃんがね、お姉ちゃんと学校で相談するって言ってたよ」
「そっか……そうなんだ」
「だいたい、お昼食べた後に集まって、晩ご飯までって言ってたけど」
「一日中遊べたらいいのにね……」
「ふふっ、そうだね。でも、それは仕方ないんじゃない?」
「……………………」
「……姉ちゃんさ、兄ちゃんのことってどれくらい知ってる」
「淳くん?」
「えっと、それは天河君の好きなものとか、性格とかって意味?」
「ううん、高校生じゃない兄ちゃんのこと」
「えっと……結構色々かな。知らないことも多いと思うけど」
「そっか」
「そうなんだ」
「うん、そうなんだよ」
結構色々知ってるようです。

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