第19回 『外伝「Remember the palm」プロローグ 千春編』

「で、結局、皆で遊ぶのは来週の日曜日にすることになったんだけど」
「兄ちゃんから聞いてる~」
「しょんぼりなの」
「ごめんね、でもね私も色々準備したいから」
「準備って何を?」
「あのね淳君。女の子には色々あるんだよ」
「そうだよ、来週までにたっくさん作戦を立てなくちゃならないんだから」
「作戦って、何か戦いに行くみたいだな」
「みたいじゃなくて、これは戦いなんだよ」
「戦いなんだよ」
「ねー」
「ねー」
「???」
「ふふっ、本当はそんなたいした話じゃなくて、服とか心の準備が欲しいよ~って話」
「あ~、そういうことか」
「大事なことなんだよ?」
「うーん、オレにはよく分かんないなぁ……あ」
「?」
「?」
「服って言えばさ、兄ちゃんのことで一つ気になってることがあるんだよな……」
「淳君も?」
「やっぱ、雫もそう思ってた?」
「うんうん」
「兄ちゃんも気合入ってるなぁと思ったらさ、あれはないよなぁ」
「お買い物に行った意味がないと思うの」
「前にオッチャンがさ、兄ちゃんに『カニの脱皮かよっ!?』って言ってたけど、理由分かったかも」
「理科の授業でカニのお話を聞いた時に、あっ、お兄ちゃんだって思ったの」
(天河君がカニ?)
「あのー、さっきから二人はなんの話をしてるの?」
「えっと、兄ちゃんのセンスの話?」
「お兄ちゃんの弱点のお話」
「天河君の弱点ってどういうこと?」
「うーん、せっかくのチャンスなのにさ、マズイよな?」
「私たちでお兄ちゃんに注意しよ?」
「そっか! そうしたほうがいいかもな!」
「???」
「姉ちゃんさ、後でキチンと話すからさ、もうちょっと待ってくれない?」
「お兄ちゃんが、ごめんなさいなの」
「えっと……あの、うん?」

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