第10回 『それぞれのキャラの、好きなもの嫌いなものは?(雫編)』

「オレの好きなものって……聞く必要ないじゃん?」
「でもね、キチンと聞いたことないなぁって」
「聞かなくても分かってるだろ」
「えっと、それは、多分そうだけど」
「オレも雫のことなら、だいたい知ってるしさ」
「ホント?」
「もちろん」
「例えばさ、雫が一番好きなのは本を読むことだろ?」
「…………」
「今好きなのは、よく図書室でかりる名探偵姉妹ってシリーズだな」
「うん!」
「でさ、その本に出てくる探偵の姉ちゃんと、千春姉ちゃんが似てるかもって思ってるだろ?」
「淳くんすごい! よく知ってるね」
「にっしっし、当然」
「いつも、一緒にいるからな」
「そっか、そうだよね。にっしっし」
「もちろん、苦手なものもバッチリだって」
「兄ちゃんや、おばちゃんも知らないと思うけどさ」
「うん、たぶん二人は知らないの」
「食べるのは大丈夫だもんな」
「うんうん」
「雫はさ、生きてる貝の見た目がダメなんだよな? 中身のニュルっとしたのがさ」
「とくにさ、なんて言ったかな。マツ貝とか、そんな感じの……」
「マテ貝だよ」
「それそれ、TVで見てから苦手になっちゃったんだよな」
「うん。本当に淳君は私のことよく見てるんだね」
「にっしっし、完璧だろ?」
「えっと……本当は、一コだけ違ってたの」
「ありゃ、どれが間違ってた?」
「あ、あのね、私ね本よりも好きなこともあるよ?」
「え?そうなのか?」
「うん。そのね、淳君と遊んでる時とかのほうが、あの……」
「し、雫……」
「じゅ、淳くん……」
「いやもうマジで、そういうのは他所でやってくれませんかね!?」
好きなものは、本。
苦手なものは、生きた貝の中身。

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