「オレの好きなものって……聞く必要ないじゃん?」
| |
---|---|
「でもね、キチンと聞いたことないなぁって」
| |
「聞かなくても分かってるだろ」
| |
「えっと、それは、多分そうだけど」
| |
「オレも雫のことなら、だいたい知ってるしさ」
| |
「ホント?」
| |
「もちろん」
| |
「例えばさ、雫が一番好きなのは本を読むことだろ?」
| |
「…………」
| |
「今好きなのは、よく図書室でかりる名探偵姉妹ってシリーズだな」
| |
「うん!」
| |
「でさ、その本に出てくる探偵の姉ちゃんと、千春姉ちゃんが似てるかもって思ってるだろ?」
| |
「淳くんすごい! よく知ってるね」
| |
「にっしっし、当然」
| |
「いつも、一緒にいるからな」
| |
「そっか、そうだよね。にっしっし」
| |
「もちろん、苦手なものもバッチリだって」
| |
「兄ちゃんや、おばちゃんも知らないと思うけどさ」
| |
「うん、たぶん二人は知らないの」
| |
「食べるのは大丈夫だもんな」
| |
「うんうん」
| |
「雫はさ、生きてる貝の見た目がダメなんだよな? 中身のニュルっとしたのがさ」
| |
「とくにさ、なんて言ったかな。マツ貝とか、そんな感じの……」
| |
「マテ貝だよ」
| |
「それそれ、TVで見てから苦手になっちゃったんだよな」
| |
「うん。本当に淳君は私のことよく見てるんだね」
| |
「にっしっし、完璧だろ?」
| |
「えっと……本当は、一コだけ違ってたの」
| |
「ありゃ、どれが間違ってた?」
| |
「あ、あのね、私ね本よりも好きなこともあるよ?」
| |
「え?そうなのか?」
| |
「うん。そのね、淳君と遊んでる時とかのほうが、あの……」
| |
「し、雫……」
| |
「じゅ、淳くん……」
| |
「いやもうマジで、そういうのは他所でやってくれませんかね!?」
| |
好きなものは、本。
苦手なものは、生きた貝の中身。 |
TOP| ABOUT| STORY| CHARACTER| SYSTEM| SPECIAL| SPEC| BLOG
Copyright (c)POMERA Studios All Rights Reserved.